
怖い話 第一話 「千手観音」
ある大学のサークルで古い民宿みたいなところに泊まった時の話。その民宿はなんだかどよ〜んとした雰囲気でしたが、サークルの合宿自体はとても楽めたそうです。最後、部屋を出る前に「千手観音やろう」という話になりました。
千手観音とは写真を撮る時ひとりが前に立ち他の人がその人の真後ろで手を横に広げてみせることであたかも一人から千手観音のように手が伸びているように見えるというおふざけです。
合宿からの帰り、スマホで写真を見返していましたが、私は千手観音の写真をその場で消してしまいました。6人で取った千手観音の左側だけ手が7本あったからです。
怖い話 第二話 「フランス人形」
Nさんの家には古いフランス人形があったそうなのですが、突然無くなってしまったそうです。Nさんはフランス人形が無くなった日のことを鮮明に覚えています。
深夜遅く、トイレに行きたくなったNさんは暗い廊下を歩いていると何かが肩にポンとぶつかりました。廊下に落ちたそれを見ると、廊下の端に飾ってあるフランス人形の靴でした。
フランス人形に靴を履かせたNさんは部屋に戻りましたが、ふとんに入った瞬間、なんでフランス人形の靴なんかが飛んできたんだ?と不思議に思て怖くなって眠れなくなってしまいました。ふと部屋の窓の外に人の気配を感じ目を向けると、そこには廊下に飾ってあったはずのフランス人形が緑の目を光らせて佇んでいました。
ぎゃあああああああああ
気がついたら朝でした。家族がざわめいていて、「フランス人形が無くなった」と言っていましたが、Nさんは何も知らないと答えました。
怖い話 第三話 「畳のシミ」
不動産屋の知合いから聞かされた怖い話。
ある和室の部屋が賃貸物件として貸しにだされているんですが、その部屋の畳の真ん中1枚だけにコーヒーでもこぼしたかのようなシミがあったそうです。
これでは借りてがつかないと不動産屋さんは大家さんにも話して業者を呼んで畳を変えてもらうことにしました。
するとそのシミがついた畳の裏側だけにびっしりとお札が貼ってあるのでした。他の畳にはなく、その1枚だけです。
大家さんに事情を聞くと、大家さんは何食わぬ顔で話し始めました。
「昔住んでいた人がね。夜中に布団をシミがある畳の上に敷いて寝ていると背中に何かあたるっちゅうんですよ。テレビのリモコンか?と思って手をいれるけどなにもない。それでしばらくすると今度は足の下になにかある。みたいなことが続いたらしいんですね。それで布団を敷く場所をシミのある畳からズラしたらなにも当たらなくなったそうなんです。
それから、シミのある畳は避けて寝ていたんですが、ある夜にのどが渇いて台所へ行こうとすると、シミのある畳から手が生えてたって言うんですよ。
驚いて電気をつけると手はなくなっていたらしいんですが、それがきっと布団の下から自分の体にあたっていたんだとわかって私に相談があったんですね。それで近所のお寺を巡ってありったけの御札を買って畳の裏に貼り付けたんですわ。」
その物件ならとても安く借りられるよ。と知人は話した。
怖い話 第四話 「マニキュア」
私が深夜遅くにマンションに帰ってきてエレベーターに乗った。もちろん中には私一人。4階を押して、4階に止まる。ドアから出て廊下を歩いていると、奇妙なことに全然エレベータのドアが閉まる気配がしないことに気がついた。振り向くと。今まで見たこともない真っ赤なワンピースに真っ赤なマニキュアを塗った女がエレベータに乗っていて、やがてドアがしまって上に昇っていった。もちろんエレベーターから出る時に人には会っていない。
怖い話 第五話 「髪の毛」
あるモデルさんから聞いた怖い話です。モデルさんは撮影をする前、試し撮りを何枚かしてカメラマンと一緒に写真の写りを確認するらしいんですが、その日の撮影で変なものが写ったそうです。
自分を抱きしめるようなポーズを取った彼女の脇腹あたりから髪の毛が生えているというんです。うしろになびく髪の毛とかではなく、しっかり彼女の脇腹から馬の尻尾みたいな髪の毛がなびいているのが写っています。
「気持ち悪い!」モデルさんもカメラマンもこんなことははじめてです。
撮影が終わり家に帰るとじくじくと脇腹が痛みます。例の写真で髪の毛が生えていた箇所です。翌日、病院へ行きましたが異常はないと言われました。
痛みはドンドンひどくなってやがて晴れてきました。シャワーを浴びていると腫れている部分がぶわっと避けて中から大量の膿と自分のではない長い黒髪が渦を巻いて排水溝へ流れていったそうです。
その腫れ物のあとは不思議なことにすぐに治り、跡も残らなかったそうです。