
Iさんが何十年も前に体験した怖い話です。秋になると、イチョウ並木のの下はたくさんの落ち葉で埋め尽くされます。
大人げないのですが、Iさんはその落ち葉をざくざくと踏んで歩くのがたまらなく好きだったそうです。休日に家の近くの公園まで出かけていってざくざくとイチョウ並木の下を歩いていました。
すると、うしろからもザクザクと音がします。Iさんは自分と同じように落ち葉を踏みしめるのが好きな人がいるんだとちょっとうれしくなりましたが、なんだか気恥ずかしくなり振り返りませんでした。
Iさんの歩くスピードより少し早いその足音はどんどん近づいてきます。
ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク
やがて、Iさんのすぐうしろまできた足音はそのあとIさんを追い抜かしていきましたが、足音だけで姿はまったく見えなかったそうです。Iさんは驚き、当たりを見回しましたが、その公園にはIさんしか人がいなかったといいます。