
Jさんというおじいさんから聞いた怖い話です。
Jさんの実家は昔商店街にありました。一階が共同店舗、二階が共同住宅みたいな建物で廊下が一本通っていたそうです。当時Jさんは受験生で深夜遅くまで受験勉強をしていたそうです。
深夜の2時くらいだったでしょうか。ふと人の気配を感じ廊下の方をみると誰かが立っています。驚いたJさんが声をあげそうになった瞬間、
「水を一杯いただけませんか?」
という声がします。近所の人かもと思ったJさんは「はい」と言うと水をコップ一杯くんで持っていきました。すると廊下の暗闇からヌッとしわくちゃの老婆の手が出てきました。
「ひっ」と声を上げそうになりましたが、Jさんはこらえました。(こんなおばあちゃん、近所にいたかな?)
すぐにふたたび手がぬっと出てきて、「ありがとう」と空になったコップを差し出してきました。Jさんは誰か確かめたくて、廊下へ出ました。しかし、そこには誰もいませんでした。長い1本の廊下、若い人が全速力で走っても一番奥にある階段までたどり着くのに数十秒かかります。
そして、翌朝、Jさんが母に聞くとやはりそんな老婆はここには住んでないということでした。一体誰だったのでしょうか。