
これは僕のある友人が都内の15階建てのマンションに住んでいた時の怖い話です。
その彼がそのマンションを選んだ理由は駅から近く、築2年という良条件にもかかわらず、そのマンションの家賃が周辺よりも3割ほど安かった事が決め手でした。
不動産屋さんから聞いた所、なんでも8階の部屋で一家心中があったらしく、その噂がたちまち広がり、そのマンションは空き家が多くなってしまったんだそうでこれはマズイと思ったオーナーが家賃の値下げを断行したところに彼が物件探しにきたらしいのです。
まさに棚からぼたもちとはこのことです。
彼はその部屋をとても気に入っていました。「俺ってさ、霊感とかのたぐいまーったくないからさ、全然へーき!」なんて言っていたくらいです。
でも彼いわく、このマンションには1点だけ駄目なところがあるんだそうです。それはエレベーターが壊れていて、下から上へ上がってくる時はいいんですが、上から下へ降りる時は必ず途中の階で止まってしまうんだそうなんです。
一緒に確かめようということになり、僕も一緒にエレベーターで15階から1階まで降りました。するとふいに8階のところにランプがつきました。
「ああ、誰かエレベーターに乗ってくるのかな?」そう思いましたが、8階では誰も乗ってきませんでした。
はっと、あることに気がついた僕は、ドアをすぐに閉めて7階を押して、7階に止まった瞬間、友人の手を引っ張ってエレベーターから飛び出て階段から下へ降りました。なぜかって?
エレベーターのボタンが光るのは中からボタンを押した時だけですから。
あのエレベーターには目には見えない得体の知れない何かが一緒に乗っていたのかもしれません。