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なぞのヘアピン【都市伝説】

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版社勤務のAさんが、今住んでいるアパートで妙なことがあったという。  

引っ越ししたての頃、部屋に女性のヘアピンが落ちていた。  

掃除はしておいたはずなのにと首をひねったがAさんは独身の男性で、まだ女性を部屋に招き入れていない。  

最初はきっと前の住人のものだろうと、そのヘアピンを捨てた。  ところがある日、また部屋にヘアピンが落ちている。また捨てた。  

そんなことが何度かあった。  ある朝起きると、布団のシーツの上にヘアピンがあった。  

ここまで続くと一体、このヘアピンはなんなのだろう……と、さすがに奇妙に思うようになったのである。  

ある夜のこと。Aさんが原稿を書いていると、うしろでパタという小さな音がした。  

はっと、振り返るが別になにもない。と、しばらくしてまた、パタ、という音。  

Aさんはちょっと気になって床を見てみると、ヘアピンが二本落ちている。  

これは、天井から落ちてきているのだろうかと不思議に思って、以後、Aさんは部屋でヘアピンを見つけては、ガラスのケースに入れるようになった。  

二カ月で八本、たまった。  

何気なく集めていたが、これ以上ためるともっとヘアピンが落ちてくるような気がして怖くなった。  

結局、八本のヘアピンは捨てたという。  

いまだにAさんの部屋には、たまにヘアピンが落ちているのだそうだ。それはどう見ても市販されている普通のヘアピンだという。  

ちなみに、Aさんの部屋は二階建てのアパートの二階にある。