「くねくね」の都市伝説。今でも田舎で語り継がれる恐怖の話とは・・・。
東京で4人家族で暮らしていた小学生の僕と3つ年の離れた兄は夏休みになると毎年、母方の祖父母の家に遊びに行くのが恒例となっていた。
電車で2時間ほど走ると、そこは東京とは全く違う、田園風景が広がりすぐ近くには大きな山が見えた。
空は夏らしく真っ青に晴れ渡り、田んぼの稲穂の緑とあいまって美しい風景を作り出していた。
駅につくと彼らの祖父が軽トラで迎えに来てくれた。
「よくきたな〜!家に帰って昼ごはんを食べよう!」
そう言って僕たちは駅から車で30分ほどの距離にある祖父母の家に移動した。
家につくと祖母がすでに昼食の準備をしてくれていて、僕たちは冷たいソーメンやら唐揚げやらをたらふくほうばった。
そして祖父母とだんらんしたあとに、兄が僕に提案した。
「田んぼにあそびにいこう!」
ダーッと広い、地平線のようになっている一面田んぼというど田舎。
当時の僕たちにとってはそれが面白くてしかたがなかった。
しばらく歩いていると、遠くの方に何か白いくねくねしたものが見える。一直線にずーっと先まで見える田んぼ道なので何かがいることはわかるのだが、おそらく数百メートル離れているのでそれがなにかがわからない。
たまたま、兄は双眼鏡を持っていた。兄がそれを覗き込んで「あーーーーーーーっ」と叫んだ。
「なに?何が見えるの?僕にも見せてー!」と兄から双眼鏡を取ったら、兄は形相を変えて双眼鏡を取り返しまた「あーーーーーーーーーっ」と言う。その時は兄が僕にいじわるをしているのだと思った。僕はくねくねの正体を見たくてしょうがなかった。
すると後ろから突然、「コラッ!何見てる!」と祖父が現れた。
と思った瞬間に祖父は僕たちの手をとって軽トラに乗せた。そして「あの白いくねくねの正体を見たのか?」と聞かれ、僕はさっきあったことを祖父に話した。車の中で兄は何をふざけているのかさっきの白いくねくねのような動きをしていた。僕はただならぬ雰囲気を感じた。祖父母の家に帰ってしばらくすると東京にいるはずの母が来ていた。祖父からなにかを告げられ、母は泣いていたが、兄は相変わらずくねくねっと妙な動作をしているだけで僕が話しかけても反応しない。
僕はすぐ東京に帰ることになった。
兄は祖父母の家で預かられることになり、祖父は「この子はもう、都会じゃうまく生きていけないだろうから、わしらが面倒をみるよ。大きくなったら田んぼに離してやるのがいい」。と言ったのを今でも鮮明に覚えている。
その日から僕の兄は死んだことになっているが、その真相を知っているのは僕と母と祖父母だけだ。
くねくね
