都市伝説「手、手、手、手」

001

その日は終電近くになって駅のホームに到着した。
いつも見慣れた駅のホーム。ぼーっとうつむき加減で電車が来るのを待っていると何やらホームの端に動くものが見える。

人間の手だった。ホームの端をガッチリと掴んでいる。(誰かいるのか・・・?落ちたのか???)色々考えて硬直していたら、駅員がその当たりをライトを持って素通りしていった。

駅員は手の横をしっかり通りライトでソレを照らしたのに何も見ないように過ぎていった。俺はその時気がついてしまった。この手はこの世のものではない何かだと。

そう思ったら、どんなやつか確かめたくなった。手に近づいていってホームに身をかがめて覗き込もうとした。その時、バッと肩を掴まれ後ろに引っ張られた。

駅員が俺を引き寄せたのだった。次の瞬間、ホームに電車が入ってきた。あのまま覗き込んでいたら俺の首は飛んでいただろう。びっくりした俺は駅員に言った、

「・・・電車がくるなんて!アナウンスも何も聞こえなかったですよ!」

駅員は血相を変えて言った、「電車がくるアナウンスは何回もしていたし、あなたに注意をしていましたよ!」

その横にいた女の子がふっと言った。「手があったよ」
手の存在に気がついていたのは俺だけではなかったのだ。
「おじさんの両耳を塞ぐ手が私、ちゃんと見えたよ」

「ああ、だから何も聞こえなかったのか」

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